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鈴木カオリ『青葉台駅チャリンコ2分』を読んだ。
青葉台駅チャリンコ2分
鈴木カオリ
小学館(2005)

「電車男」に対抗して「自転車女」。
雑誌ビーパルに連載されていた、横浜市青葉台にあるMTBプロショップ轍屋の奥様が、自堕落していた大学時代に突発的に自転車に目覚め、それまで女子選手がいなかった自転車部に入部し自転車に打ち込み、現在の自転車屋の奥様になるまで忙しく人生を駆けて来た20代を回顧した私小説。

とにかく直情径行型のヒロインが無駄にエナジー溢れていて可笑しい。漫画のキャラみたいだ。(その若気の至りパワーと感情のプラスマイナスの振幅の幅が面白いと思う人とウザーって思う人の両極に分かれそうではあるけど)

体当たりの負けず嫌いで人とぶつかりまくりだけど最終的には相手を認めて飲み込むだけの度量があるって…お前は70年代の熱血少年漫画の主人公か!ってツッコミを入れたくなります。

元編集者と言うことですが、文章はあまり洗練されていません。と言うか文体が小説っぽくなくてWEB日記風なのですね。「電車男」のような極端なものではありませんが。そして性格同様に細かい所で立ち止まることがなく前へ前へとテンポが良いのでダイナミックに読ませます。俺なんかは体育会系寮生活や専門雑誌編集部ならではの細かいリアリティとかどうでも良い蛇足話にもっとページを割いて欲しいが、そういう横道にはあまり逸れずにドンドン先に進んでしまう。要は作者に懐古的な気分があまり無いみたい。(年齢からしてもそりゃそーなんだけど、それにしてもアッサリしてる。)そんな感じなので、読んでるこっちも前向きな気分になって来ます。たとえ暗くなりがちなエピソードでも。

20代ってのは学生生活から就職、転職、出会いに結婚、病気に挫折など環境の変化が重なる時期で、振り返ると一番忙しい時期なのかもね。共感出来る箇所も多く、面白可笑し悲しくグッと来ながら読めました。読みやすいし元気が出るしで忙しい人にお勧め。
by interstellar_dust | 2005-04-07 01:11 | book
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