入江喜和「昭和の男」
昭和の男 2巻(完結)
入江喜和
講談社
週刊モーニング連載

連載時はやっとキャラが身近になって来て面白くなってきたのに、これじゃまだまだ読み足りない!と思ってたけど、2巻合せてざっと520ページくらい、まとめて読むと結構マンプクですよ。
入江喜和は漫画家新井英樹の奥様でこの作品は育児の合間に書き溜めたものだそうです。才能ある人が主婦だなんてモッタイナイとも思いますが、結婚して主婦して子育てしなかったらこの作品も深みを持たないわけで何が良いのか悪いのか判らないですね。

「昭和の男」は生きた化石のような下町のガンコ爺が主人公の話で、何かとあっちゃ男の心意気を語ろうとする爺の空回りっぷりがですね、可笑しいと同時に同じ男として涙を禁じえないのです。それで主人公のシゲ爺に肩入れして読んでいるうちに、俺ら男が生きていると必ずぶつかる男の論理だけじゃ上手く行かない諸問題にシゲ爺がぶつかるわけですよ。主に子育て、この場合は孫育てですが。
これまではシゲ爺が踏ん反り返っていても奥さんが引いていたんだろうけど、孫のことでは一人娘さんも引かないわけで遅ればせながらシゲ爺も大変ですと。そういう話。

そこに若くして天才的なダメ男が登場して、止せばいいのに説教して関わってしまってと。こう書くと落語みたいなんだけど人生はなかなか落語みたいに笑えないもので…。

この人はデビュー作「杯気分肴姫」の時から落語を当世風の漫画にしたような一癖も二癖もある下町人間模様を描かせたら天下一品と言う芸風の人なので、その一癖も二癖もあるってところが分水嶺ですね。好きって方に傾いた人は良いんですが、嫌いな方に流れた人はもう二度と戻ってこなさそう。

これから読む人にはお酒と料理のウンチクが入った人情話で軽い再読が何度も出来るので「杯気分肴姫」が一番のお勧めで、何度も読み返して入江ワールドへの洗脳が完了した後に「のんちゃんのり弁」「昭和の男」と続いて欲しいのですが、既にこれまでの作品は絶版だと思うので、是非とも「昭和の男」から入ってください。この本は軽く再読するには内容も頁もズッシリとし過ぎなんですが、それだけ人間描写に張りぼてじゃない厚みがあるってことですから。キャラクターの細かい演技も楽しくてマル。連載中は何度も再読した作品です。
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by interstellar_dust | 2005-03-02 02:14 | comic
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